このアルバムに収録されている「交響楽(シンフォニー)」という曲が大好きです。
発売されてから30年ほどになりますが、以来ずっと気にいって聞いています。失恋した主人公の切ない気持ちを、美しいメロディに載せて切々と表現していますね。この歌詞に歌われる2番目の歌詞の「今から思えば 貴方がワグナーの交響楽を聞きはじめたのが 二人の別れてゆく兆になった」という部分がずっと気になっていました。
ワグナーは「交響楽(シンフォニー)」を作曲していたかどうかずっと疑問だったのです。30年近くモヤモヤっとしていました。「歌劇」や「楽劇」という有名な曲は沢山つくっているのですが、「交響楽(シンフォニー)」となると本当に若い頃に少し作曲した程度なのですね。
どうもさだまさしは、「ワグナー」や「交響楽(シンフォニー)」という音の響きと、それらのイメージを借りてきたのでしょうね。
先述の歌詞の続きに「何故ならそれから あなたは次第に 飾ることを覚えたから」という部分が続きます。ワグナーの音楽は、どうも「飾ることを覚え」ることにつながるようです。
一般的に「クラシック音楽好き」は、高尚だというイメージがありますね。
嗜好がかわるとか、趣味がかわるというのは、確かに若いカップルにとって「別れの前兆」につながるかもしれません。そういう意味では、聞く音楽も相性を占う意味において結構重要な要素となるようですね。
このあたりの巧みさが、さだまさしの若い頃の特性だったと思います。
感性も豊かで、声もとても透明感に溢れています。永遠の名曲ですね。