前半はスパイダースのオリジナルですべてを占めたアルバム、後半は洋楽カバーのアルバムからのCDとなっているが、このオリジナルの先進性とカバーの完璧性がスパイダースの身上である。
オリジナルは、この時期ほとんどがかまやつひろしによるものであるがフリフリの三三七拍子のリズムは、独創的というほかはない。スパイダースにとってもレコードデビュー作となったこの楽曲には特別の思い入れがあるようで、『スパイダース・ストーリー』の中でも田辺昭和知はそうコメントをしている。ほかにも『ビター・フォー・マイ・ティスト』などビートルズ風なコーラスの楽曲も聞き応えがある。
後半の洋楽カバーでは、やはりビートルズのナンバーが多いのは当時としては当然であるが、まだ日本で発表される前のビートルズナンバーを、FENを聞いてコピーし、歌詞をかまやつが書いて演奏していたわけで、スパイダースの演奏でビートルズの新曲を知るという具合だったことはスパイダースのすごさというものであろう。ただし、後から日本でビートルズのオリジナルが発表され、歌詞カードを見たら、あってるのは「Help!」だけだった、なんていうオチもあったらしい。(冗談でしょうけど、もちろん)
それはともかく、ベース音は柔らかくほかの音に潜ってしまいコピーしずらかった、というかっぺちゃん(加藤充)のコメントを思い出す。
オリジナルとカバー、両面でのスパイダースのよさをじっくり味わえる1枚である。