穂口雄右、水谷公生(淳)、松崎澄夫(轟健二)という、のちにスタッフとしてキャンディーズを育てあげることとなる3人の、まさに若き情熱の結晶が、このCDのトップで聴くことができるアウト・キャストの8曲の中にある(穂口氏のみ、筒美京平作品で意外に名曲な「愛なき夜明け」の前に脱退し、その発売後まもなく、バンドは一旦、解散。「空に書いたラブレター」は新編成による唯一のシングル。ただしギターは水谷氏っぽいなど、謎は残る・・・)。彼らの全音源は『君も僕も友達になろう』としてCD化されてはいるが、これがなかなか入手しにくい状況にあることと、全体に音質がいまひとつであること、左右の音像が逆に記録されている問題もあることなどから、まずはこの、彼らのシングル全曲を収めた(音質が可能な範囲で改善され、音像も正しく収録してある)アルバムをおすすめするものである。
合わせて収録のボルテージ(初代ヴォーカルとされる串田アキラ氏は、実は無関係なのだとか。ご本人の談による)は、ソウル指向だったはずが、いつのまにか「えんやとっと」まで行ってしまうなど、かなり極端なバンドではあるが、これはこれで楽しめるのでお得。
そしてこの中で最も地味なテリーズも、ルックスと無関係にメルヘンタッチの曲ばかりあてがわれたのは気の毒だったが、非常に聴きごたえがあり、結果、全体的に買って損のない1枚かと思われる。