口当たりのよいことばかり・・・
内容的に具体論に乏しい。教科ごとの学習法にも特に見るべきものは乏しい。一見具体論があるように見えるが、そんなものは学習塾の説明会でもっと現実的な手法を聞くことができる。"ムリせず、ムダなく、ムラがない勉強"こそ、ゆとり合格への最短距離とのことだが、その前提は筆者の「優秀で、前向きなご子息」であるということに帰結すると考えるのはうがちすぎだろうか。中学受験に向けて塾通いをさせ、長時間学習させることに割り切れない親にはとても耳障りの良い表現が並ぶ本である。しかし、それでは「やる気がない、ともすればサボりがちな普通の子」を難関校へ入れるための「ゆとり受験」の具体的な手法は?というと、残念ながらこの本に回答はない。観念的な内容が多く、また書かれてあることは所謂「正論」である。しかし、残念ながら万人に当てはまる内容ではない。そして、読者としては受験のために、夜に塾がよいをさせること自体が、すでに「ゆとり」とは対極の生活を選択していると認識した上で、この本に向き合うことが大切ではないだろうか。
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